ベスト・デュオ・アルバム

 長期の二人旅は止めた方が良いと云うように、DUOは難しい世界なのです。 それだけに二人の関係は非常に興味深いものがあります。 古くは、<Mu First Part & Second Part>(Don Cherry+Ed Blackwell)、<Under Current>(Bill Evans+Jim Hall)などのDUOアルバムが有名ですが、ここでは少し新らしめの作品を紹介します。  このページを書いていて、DUOを特集したJ.Y.さんのページ<デュオはおもしろい!>を発見しましたので、そちらも参考にして下さい。(期せずして<Paris Blues>を最初に取上げています)

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Piano + Soplano Sax = Gil Evans + Steve lacy

"PARIS BLUES"
OWL 049

★★★★★

メンバ:
Gil Evans(p,e-p) &
Steve Lacy(ss)
録音:
Nov. 30 - Dec. 1 1987
曲目:
Reincarnation of a Lovebird, Paris Blues, Esteem, Orange Was the Color of Her Dress, Then Blue Silk, Goodbye Pork-Pie Hat, Jelly Roll, Esteem
このLP、最高のDUOアルバムです。(私のフェイバリット・ミュージシャンの2人です)

まずは2人の関係を振り返ってみます。 Steve Lacy(スティーブ・レイシー)に最初に目を付けたのはセシル・テーラーですが、かなり早い時期にGil Evans(ギル・エバンス)もスティーブを自分のバンドに誘っています。 スティーブが加わったギルのバンドのレコードには以下のものがあります。(完璧でないかも)

 ・1957 Gil Evans & Ten (Prestige)
 ・1959 Great Jazz Standards(World Pacific)
 ・1963 Quiet Nights-Miles Davis (Columbia)
 ・1964 The Individualism Of Gil Evans (Verve)
 ・1987 Parabola (Horo)

このような長い付合いがあり、2人は生涯を通した友人(お互いに尊敬するミュージシャン)だったようです。

ところで、これほど静寂感に溢れ、そしてお互いの心の内を表出した演奏を聴いたことがあるだろうか。 楽器が触媒となり相互作用した結果が音になり、この世に残した偉大な贈り物です。 決して丁々発止の演奏ではないのにスリリングに聴こえるのです。
A面<Reincarnation of a Lovebird>、<Paris Blues>は、エバンスの淡々としたエレピに重なる悲しげなスティーブのソプラノ、二人だけの静かな会話。 3曲目<Esteem>では、スティーブが泣いている。 B面に入ると、そのような感情から脱け出し二人の思い出に浸った演奏となっているように聴こえますが、<Goodbye Pork-Pie Hat>は何と悲しげに聴こえるのでしょう。 (実際にどのような順序で演奏されたかは分りませんが)

ギルはこの録音(1987年12月〜1月)を最後に1988年3月に亡くなっており、自分の死期を悟り、生涯の音友であるスティーブを誘い、このように透明な録音を残し自らを総括したのではないだろうか?

ライナーはスティーブがギルとの思い出と各演奏についての短いコメントを載せています。

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Piano + Organ = Michel Petrucciani + Eddie Louiss
 
”Conference de presse”
dreyfus FDM 36568-2


”Conference de presse Vol.2”
dreyfus FDM 36573-2


★★★★

メンバ:
Eddy Louiss (org) &
Michel Petrucciani (p)
録音:
May 31 1994
曲目:
Disc1:Les Grelots, Jean-Philippe Herbien, All The Things You Are, I Wrote You A Song, So What, These Foolish Things, Amesha, Simply Bop
Disc2:Autumn Leaves, Hub Art, Caravan, Naissance, Rachid, Caraibes, Au P'tit Jour, Summertime
これもフェイバリット・ミュージシャンの二人による凄いDUO作品です。

まずは、二人の関係。
Eddy Louiss(エディ・ルイス)Michel Petrucciani(ミシェル・ペトルチアーニ)、二人ともフランス人です。(トホホホ...これしか接点が分りませんでした) このCDの作成に至った経緯がライナーに書かれているようですが、フランス語で全く分りませんでした。(1988年あたりからの企画がようやく...とか書いてある?)

次に、私と二人の関係。(どうでも良い話ですが!)
まずミシェルですが、最初に買ったレコード<FLASH>Bingowで惚れ込んで以来死ぬまで(私がではありません)ずっと追い掛けていました。 一方エディの方は、1970年の万博ホールでの実況録音盤(神保町の富士レコード社のセールで入手、先客の若者が手に取り暫くキープしていたのですが、何を思ったか箱に戻したので、その一瞬を狙ってとっさ横から抜き取った)が切っ掛けで、他のオルガンと違った白色オルガンが頭に残り離れませんでした。

肝心のCDですが、ピアノ+オルガンという不思議なDOU。 誰かに勧められなければ聴きたいと思わない楽器の組合せで、上手く行くとは思えない。 ところがところが、言葉では表すことが不可能な最高最上絶品完全孤高繊細感涙感激...のDUOなのです。 一言で表すと、ピアノとオルガンの抜きつ抜かれつのおっ駆けっこといったところです。

絶対、買いです。(今は2in1のCDで入手可能かも)

予断ですが、このDREYFUSレーベルのプロデューサFrancis Dreyfusの子女Julie DreyfusがNHKのフランス語講座に出演したりしてタレント活動を日本で開始したのって知ってますか。(随分昔の話です) 最近Julieさん見掛けないけど、どうしてるのかな?

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Base + Alto Sax = John lindberg + Marty Ehrlich   

"Unison"
Cecma 1006


こういうジャケットです。
(レコード写真ではない)

★★★★

 
メンバ:
John Lindberg(b) &
Marty Ehrlich(ss,as,c-cl,fl)

録音:
Jan. 19 1981
曲目:
Sound Stories(Unison, So long long long), Mellow T. , Variations On A Theme By Charles Mingus
前の2作品に比べるとフリー寄りですが、このLPも最高に良いです。 

まず二人の生立ちを簡単に。
John Lindberg(ジョン・リンドバーグ)については、≪お勧め&名盤CD:ジャズ・ベース≫を参照下さい。
もう一人のMarty Ehrlich(マーティ・アーリック)は、1955年ミネソタ生まれ、オーネット・コールマン、アルバート・アイラー、エリック・ドルフィーなどの影響下で育ち、Black Artists Group (BAG)に加わって演奏活動を開始する。 Oliver Lake、特にJulius Hemphillにはいろいろ教わったそうだ。

次に二人の関係ですが、ライナーに以下のように記載されています。 
≪二人はAnthony Braxton Creative Music Orchestraのメンバーとして1978年5月に初めて出会った。 同年7月にはHuman Arts Ensembleのメンバーとして一緒にツアーに加わった。 これを機に意気投合し、定期的な演奏活動を開始し、1979年1月にニューヨークで初のDuoコンサートを開催した...≫

このLPの演奏では、B面1曲目<Mellow T.>の出来が特に良い。 ベースがハードにヒットするのに合わせて、フルート、アルト、バスクラでの演奏が尖った音で応酬。 ジョンは22歳、マーティは26歳、二人の音は既に出来上がっていた。

ジョンはDUO好きで、他にも次のようなフリー好きには堪らないパートナーとの録音を残しています。
 ・John Lindberg/Billy Bang: Duo(Anima, 1980)
 ・John Lindberg/Hugh Ragin: Team Work(Cecma, 1982)
 ・John Lindberg/Eric Watson: Shoot First(Ear-Rational, 1989)
 ・John Lindberg -Karl Berger: Duets 1 (between the lines, 2005)

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Clarinet + Piano = Rolf Kuhn + Joachim Kuhn
Rolf Kuhn
”brothers”
institution music INT 2184 2


★★★★
メンバ:
Rolf Kuhn(cl) &
Joachim Kuhn(p)

録音:
Jul. 5-7, 8 1994
曲目:
Lover Man, Express, saturday Blues, Walk, Opal, What Is Left, Love, Brothers, Everytime We Say Goodby
美しさ、温か味100点満点のDUO作品です。

二人の関係は説明不要、兄弟です。(Steve Kuhnは血縁関係ありません) 兄弟だけあって息がピッタリ合っており、これぞDUOという演奏を聴くことができます。

説明は、≪お勧め&名盤CD:その他のジャズ楽器≫を参照下さい。

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