お勧め&名盤CD : その他のジャズ楽器

「その他の楽器」の「その他」ってどういう意味なの? 明確な定義はないかと思いますが、「その他」という卑下されたというか、馬鹿にされたというか、なぜそのような楽器群が存在するのかというと、モダン・ジャズで主に演奏される楽器が数種類に固定化されていること、そしてコレクション(ストック)の整理方法としてまず楽器別に分類し、次に人名順に並べる方式が採用されているために出来た整理用語なのです。 DISK UNIONの山本隆氏によると、初心者認識...ハーモニカ、アコーディオン、バイオリン、中級者認識...ハープ、チューバ、フレンチホルン、ユーフォニウム、上級者認識...メロフォン、バグ・パイプ、バスーン、ほら貝、オカリナ、これらの楽器の総称を「その他の楽器」と云うそうです。(意味不明の区分けですが)

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Bob Ferrel
”Time Tunnel”
BFM Productions BFM-001
 
メンバ:
Bob Ferrel(tb), Michael Cochrane(p), Calvin Hill(b), Yoron Israel(dr), Vinnie Cutro(tp), Frank Elmo(ts,b-cl)
録音:
1995, 1996
曲目:
Sue's Summit, Linda Chicana, Time Tunnel, Zoltan, Chelsea Bright, Cutting Edge, O.H., Birdlike, Rockin' In Rhythm, Blues For "Big LUV" Malcolm Taylor, Mood Indigo
 
《トロンボーン》 ボブ・フェレル(Bob Ferrel)
トロンボーンは、同じ金管楽器のサックスやトランペット等に比べてマイナーな楽器だし演奏者も少ない。 J.J. Johnson、Curtis Fullerに始まり、少し進んでGrachan Moncur III、Albert Mangelsdorfe、Slide Hampton、Rosewell Rudd、ずーっと進んでAl Grey、Carl Fontana、相当にジャズを聴き込んでも十数人が関の山だ。 ここで紹介するBob Ferrelは、関の山の上を行っているミュージシャンですが、是非知って欲しい一人です。 ほとんど知られていない存在なので、まず略歴を。

1960年ニュージャージーに生まれ17歳でプロ入り、Duke Ellington Orchestra、Southside Johnny and the Asbury Jukes、The Spirit Of Life Ensemble等のメンバーとなり世界中を回った。 同時にElla Fitzgerald、Sarah Vaughan、Bruce Springsteen、Jon Bon Jovi、Bill Cosbyなどのバックも務めてきた。 現在は、Bob Ferrel QuartetとThe New Jersey Sackbut Ensembleのリーダー、及び中高生にトロンボーンを教えたりで活躍している。 またエディソンが発明した蝋管蓄音機の収集を趣味としている。

ウェブでの紹介では、スイングからフリーまで幅広い領域でカバーし、荒れ狂うハードバップ、狂乱のハードコア・ブルースと紹介している。 更に、難解な度肝を抜くようなソロ演奏は芸人的要素を含んで大変に魅力的だ、とも紹介されている。

本CDでは、その様な面は少なくハードバップの本道を行く深みを持った演奏を聴くことが出来ます。 一曲目は”かみさん”Sueに贈った<Sue's Summit>、どこかで聴いたようなメロディーだが聴き易く贈られたSueも嬉しいだろうな! 四曲目にはWoody Shaw作曲の<Zoltan>(ShawはLove Dance:MuseやLarry YoungのUnity:BlueNoteで録っている)が入っており、小気味よいテンポのドラムとストレートなトランペットが印象的で天国のShawも喜んでいるに違いない。 この演奏にはVinnie Cutro(Trumpetのページで紹介)が加わっているのでVinnieの提案だったと想像でき、二人は仲良しなのだ。 Bobに焦点を当てると、5曲目の静寂な曲<Chelsea Bridge>で秀逸なトロンボーンを聴くことができます。

最後の3曲は蝋管蓄音機への録音で、ご愛嬌と思って下さい。
Jack Mcgriff
 ”McGriff Avenue”
Milestone MCD-9325-2
メンバ:
Jimmy McGriff(org), Bill Easley(ts), Gordon Beadle(ts), Ronnie Cuber(bs), Melvin Sparks(gu), Rodney Jones(gu), Wilbur Bascomb(b), Bernard Purdie(dr), Don Williams(dr)
録音:
Oct. 22-23 2001
曲目:
All About My Girl, McGriff Avenue, Soul Street, The Answer Is The Blues, The Great Unknown, Dissertation On The Blues, The Worm, Amercia, The Beautiful
《オルガン》 ジミー・マクグリフ(Jimmy McGriff)
オルガンをその他楽器に入れ込むことには抵抗がありますが、決してメジャーな楽器ではないのでここで取上げることにしました。

ジャズ・オルガン奏者はと訊かれ、ジミー・マクグリフが出てくることは稀ではないかと思います。 20年、30年とジャズを聴いてきた人でも滅多に話題に上ることはありません。 それほどマクグリフの認知度は低いのですが、軽快さ、楽しさ、乗りの良さ等の点ではトップ・クラスのオルガニストではないかと思います。(私も<The Worm>(Solid State) 、<Feelin' It>(Milestone)そしてこの<McGriff Avenue>の3枚しか持っていないので、偉そうなことは言えませんが)

最近の中堅、若手ではジョーイ・デフランセスコ、バーバラ・ディナーリン、ラリー・ゴールディングス、ダン・ウォール、敦賀明子などがオルガン奏者として出てきていますが、深み・奥行き・ゆとり、などでまだ太刀打ちできるレベルにはありません。 1990年以降にMilestoneに吹き込まれたマクグリフのCDは一聴に値するので買って下さい。 損はさせません。 私が保障します。 半値で買い取ります。
Rolf Kuhn
”brothers”
institution music INT 2184 2
メンバ:
Rolf Kuhn(cl), Joachim Kuhn(p)

録音:
Jul. 5-7, 8 1994
曲目:
Lover Man, Express, saturday Blues, Walk, Opal, What Is Left, Love, Brothers, Everytime We Say Goodby
《クラリネット》 ロルフ・キューン(Rolf Kuhn)
ジャズの世界でクラリネットは古い楽器(スウィング・ジャズで使われた)のようなイメージを持たれていますが、エディ・ダニエルス、トニー・スコット、ジョン・カーター、バディ・デフランコあたりがモダン・ジャズでも頑張っていました。 (バスクラは全く違ったイメージの楽器となっていますが)

そんな中でロルフ・キューンはピカ一の技術力を持ち、「クラリネットってこんなに格好良い楽器なんだ」と再認識させられる演奏を披露しています。 このCDは、実弟であるヨアヒム・キューンとのDUOで、作成に当たって2人は次のようにコメントしています。(ライナーより)
Rolfのコメント:Joachimは私が14歳の時に生まれ、当時狭い家に住んでいたためJoachimが寝ている前で日に6~8時間ほどクラリネットの練習をしており、そのお陰で彼の今がある。 西ドイツに住み始めた若い頃には一緒に演奏しレコードも残したが、Joachimは自分のトリオを作って我が道を行ってしまった。
Joachimコメント:2人はコンサートなどでDUOは何回もやっているが、1枚丸々DUOはこのCDが始めてで、Rolfの提案で作った。

以上の通り、2人は長らく独自の音楽観に従って別々の道を歩んで来ましたが、そろそろ歳だし一緒にやってみようか、という思いで出来上がったようです。

このCDですが、難解さとは無縁の自然体での演奏は、限りなく美しいの一言。 特に5曲目<Opal>は15分を越す大作で、バックにストリングが入りジャジーなクラッシック音楽といった感じですが、これほど美しい音楽には滅多に出会えるものではありません。
hamiet Bluiett
”Naritone”
Justin Time JTR 8470-2
メンバ:
Hamiet Bluiett(bs), Alex Harding(bs), James Carter(bs), Patience Higgins(bs), Ronnie Burrage(dr)

録音:
1997
曲目:
Libation For The Baritone Saxophone Nation, Discussion Among Friends, MPR-1, Revival, Settegast Strut, Underwater Birth, J.B. Groove, KMA/QB.
《バリトン・サックス》 ハミエット・ブルーイット(Hamiet Bluiett)
”Bluiett Baritone Nation”と名付けられたバリトン4人組とドラムのクインテット、ちょっと変わった編成です。 最近、ベースによる超低音の魅力を売りにするCD(私は聴いていませんが)が宣伝されていましたが、このバリトン4人組の低音は凄いです。 ベースがいないので、一人ないし二人がリズムを受持ち、他がメロディを奏でるといった具合で進行し、軽々と、そしてリズミカルに音を操っていることには脅威すら感じます。(バリトンやチューバって、凄い肺活量がないと吹けない楽器なんですよね!)

バリトンというとジェリー・マリガンやペッパー・アダムズを思い浮かべますが、個人的にはロニー・キャーバあたりもお勧めです。(但しフュージョン系は除く)

バリトン・サックスの地位向上を図ることを趣旨にした≪バリトンサックス推進協議会≫ があって、如何に隅に追い遣られた楽器かを象徴しています。
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