購入金額ポリシーその2

購入金額ポリシー

レコード収集の趣味は他のコレクションに比べると安い方の部類に入ると思います。 5,000枚集めても1枚2,000円と仮定すると1,000万円です。 絵画1枚数億円と比べれば比較できないほど安いし、40年で1,000万円使って月2〜3万円程度の出費で済みます。 近年のサラリーマン生活を考えるとキツイ額かも知れませんが、酒、ゴルフなどやらなければ賄えない額ではありません。
コレクションにおいて購入価格は重要な意味を持ちます。(個人的には金に物を言わせ集めまくるのは邪道と考えます。負け惜しみかな) 私の場合、頭の中にそれぞれのレコードの想定価格がインプットされており、それ以上のものに手を出す事はまず有りません。 上限設定も厳しく高くて3,000円程度となっていて、これまでの平均購入単価は1,500円程度ではないかと思います。 私の想定価格を大幅に下回って入手できた時の醍醐味がコレクションの大きな楽しみの1つなのです。 

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例外は過去に2回だけありました。



タイトル:Walkin' and Takin'
レーベル:BlueNote 4010
USへの出張の折に$100(1ドル120円の時代)で購入。 サンフランシスコからEl Camino通りを南に下ったRedwoodシティという場所にあるThe Record Manという店で、何枚か買った1枚です。 棚の下にしゃがみ込んで探していると親父さんにディーラーかって聞かれたことを懐かしく思い出します。 大量のレコードの中で、ピカピカで分厚く光沢のあるジャケットが後光を放っているような錯覚に陥り、つい買ってしまいました。

ジャケット・デザインReid Miles流石、録音Rudy Van Gelder流石、内容平凡。 メンバーBennie Green(tb), Eddy Williams(ts), Gildo Mahones(p), George Tucker(b), Al Dreares(dr)を見て納得。 
 Bennie Breen(ベニー・グリーン)は総じてインパクトの無い演奏をしていますが、何でフランシス・ウルフ(このジャケットの写真を撮っている)がこの人をかっていたのか分かりません。(アルフレッド・ライオンかな?)

話は逸れますが、昔Phil Woodsのコンサートがあり九段会館まで行ったのですが、来日出来ずとの張り紙が出されBenny Carter Quartetに差し替わっていました。 その時のピアニストがこのGildo Mahones。 観客は広い会場に30人程度。 開演前におばちゃん(映画館の売子のような感じの)がステージに登場し、皆前に集まれって言って、座席番号に関係なく前の3列に観客が集まりました。 この時のBenny Carterの演奏が抜群、多分私の3本指に入るコンサートとなり感激した覚えがあります。 30人の観客に来てくれたことに感謝する最高のパフォーマンスを見せてくれたのだと思います。 翌年から毎年のようにオーケストラを率いて来日するようになりました。


タイトル:Live In London 1990
レーベル:BLAST FIRST BFFP60


  
付属のPost Card
渋谷のDESK UNIYONでこれを逃したら2度とお目に掛かれないと思い7,000円で購入。 当時は何回か見かけましたが、最近はとんと見なくなりました。

これは、英国の”WIRE”というコンテンポラリJAZZ雑誌の会員に配布されたもののようです。 内容は今一ですが、しっかりした作りのBOXに10インチ盤の3枚組とPostカード1枚(2枚入っているとの話もありますが、私のには1枚)が入っており、コレクターを引き付けるデザインに手が出てしまいました。

BLAST FIRSTというレーベルは、JAZZというよりハードコア・ロックを中心としたレーベルのようですが、Sun Ra(サンラ)はこのレーベルからもう1枚出ています。

Sun Raについては、Sun Ra探究を参照下さい。

逆に安い買い物は以下の通り、店の名前は秘密ですが、どれもオリジナル(または準オリジナル)且つコンディションも良いもので、東京都内での購入です。 何れもこの10年以内の話です。 これだから止められなくなってしまうのです。



タイトル:Communications
レーベル:Fontana 881 011 ZY



ジャケット裏面より
確か980円で購入。 ジャケット、盤ともグッド・コンディションです。

昔、渋谷にあったCISCO(今のイエローポップのある場所)の壁にFontana New Jazzシリーズがずらりと飾られていたことを記憶しています。 社会人となり初月給が4万円ちょっとの時代、3,700円くらいの値段が付いていたと記憶していますが、何しろ手を出せなかった金額であったことは確かです。

Milford Gravesの強烈なドラムソロで幕を開ける。 その後、アルト、テナー、トローンボーン、ピアノなどが乱入しカオス状態が暫く続き、その後Archie SheppとMilford Gravesの掛け合いが始まるが周りも黙ってはいない。 猛烈な台風でモノが飛び交い、その中を真っ裸で突っ走るような・・・と表現すれば良いのか、#%$&=> 楽譜読めないし、音楽理論も全く解らないため、このような理解不能の表現、悲しい!

ジャズ界の猛者を、しかもこの様に大勢率いるCarla Bley(カーラ・ブレイ)の凄さを表していると謂えます。 ジャケットの裏面に載っているジャケット・デザイナーMarte Rolingの美顔に比べ、Carla Bleyの顔の怖さ、単なるセクシーなお姉さん、もう70歳を超えているはずなのでセクシーな婆さん?、だけではないことがこの写真からよく判ります。

Carla Bleyのオフィシャル・サイト、非常に凝っていてメッチャ面白いので、時間があったら是非訪問して下さい。 ホームページの傑作です!!!


タイトル:introducing K. B.
レーベル:BlueNote1523
町中にある普通の中古レコード屋さんで、何故か判りませんが古いものには高い値段を付けないポリシーがあるようです。 またレコードの傷にも非常にシビアで、ほんの僅かなスレがあるだけで平気で500円とかの値付けをします。 我々にとっては非常に有難い考え方のオーナーです。

この2枚、両方とも1,000円で購入。ここに紹介するようなレコードがこの店に入荷する確率は当然低く、20年以上通った成果です。

まず、”Introducing Kenny Burrell”は、完全オリジナル盤の美品です。Kenny Burrell(ケニー・バレル)の若々しく張り切った切れのある演奏を聴くことができます。 内容は評論家に任せるとして、CANDIDOは抜きの方が良かったと思います。 BlueNoteがCANDIDOやSabuを多用したのは1950年代のアメリカの時代背景(ジャズとラテンの力関係)がそうさせたのでしょうか。 B面2曲目にKenny ClarkeとCANDIDOのパーカッションDUOでRhythmoramaという曲が入っています。 他の3人がブレークで場を外した間に録音されたとありますが、何で”Introducing Kenny Burrell”に加えたのか理解不能です。

次の”Ray Bryant Trio”はNew Jazz盤ですが、ピカピカなコーティング・ジャケットと秀逸なデザインが素晴らしいです。 誰のデザインだろう!

盤に手書きで記載されているレコード番号は、オリジナルのPRLP-7098が消されNJLP-8227がその横に書かれているので、Prestigeで出す予定で作った盤を急遽New Jazzレーベルに差し替えたことが判りますが、理由は判りません。 内容は省略(A面2曲目”Angel Eyes”、大好きです)  


タイトル:R. B. Trio
レーベル:new jazz 8227 


タイトル:トシコ旧友に会う
レーベル:キングKC13
 この日は、この2枚を同時にゲットしました。 両方ともピカピカで1,900円、びっくりです。 最初に「トシコ旧友に会う」、次に同じ棚の数枚先に「ジャズ・インター・セッション」、他にも無いかとあちこち必死に探しましたが、この2枚だけでした。 この店、その後査定係りがクビになったのか、まともな査定となってしまいました。

「トシコ旧友に会う」はジャケットの裏面にライナーが書かれているのですが、他に1枚っぺらのライナーが付いています。 ジャケット裏面では[秋吉敏子の人と音楽]という内容、1枚っぺらの方は演奏に関する解説となっており、両方とも久保田次郎氏によるものです。 このシリーズ、モノラルは1,500円、ステレオ2,000円の定価が付いています。 1961年の録音で、この時代の大卒初任給が16,000円程度なので、現在の価格に直すと2万円強となり、一般市民が買えるものでは無かったようです。

「ジャズ・インター・セッション」のライナーは今も活躍されている岩浪洋三氏。 こちらはステレオ盤で定価1,800円、1965年の録音なので約4年で少しは安くなったようです。 本場のミュージシャン、チャーリー・マリアーノを迎えたためか、ピンと張りつめた空気を感じる演奏となっています。
昔Duke Jordanトリオに峰厚介が数曲客演したコンサートで、何を勘違いしたのかメチャメチャ張切って過剰なColtraneのような演奏をして、終わった時にDuke Jordanが愛想笑いしていたのを思い出しました。

両方とも素晴らしい内容で、当時の日本のジャズ・ミュージシャンのレベルの高さがそのまま録音に残されています。  詳しくは、ジャズ批評「和ジャズ1950−70」を参照下さい。


タイトル:ジャズ・インター・セッション
レーベル:キングSKJ1058




タイトル:NYC5 Vol.1
レーベル:SONET SLP36


正確ではありませんが、1,200円程度で購入したと思います。

このレコードを購入した時に店のオーナーから聞いたのですが、『近所の人が売りに来たのですが、「この分野自信が無いのでDESK UNIYONに持って行かれた方が良いかも知れませんよ」と断ったのですが、「その値段で良い」と言われ引き取ったレコードなんですよ』、と話していました。超ラッキーなタイミングでした。 まめに通うことが、このような場面の出くわすのですね。

これを書くために久しぶりの聴き直しましたが、ドラマーのJ.C. Hardが何か無理しているような感じで耳障りです。 この人、目立たないが様々なリーダに雇われ録音を残しています。 Bud Powellに始まり、このNYCFの面々、Cliford Jordan、Eric Dolphy、Kenny Dorham、Charles Lloid、Roland Kirk、Sam Rivers、Joe Sample、Nathan Davis、Eric Kloss、Dexter Gordon、Ben Webster、...相当に幅広い。 良いヤツだったのかな。
他のグループでの演奏に比べると、出来損ないのEd Blackwellのようです。 偶々誘われて入ってしまったのかな?

処で、Archie Sheppですが、壊れそこなった不思議な帽子をかぶっています。 やはりコペンハーゲンでハンチング帽を買ったのだ!!!

実は、このレコードVol.1、Vol.2とも準オリジナル版で持っていましたが、分厚いこのレコードをキープして、元元持っていた方は放出しました。

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