ベストCDアルトサックス名盤

お勧め&名盤CD : ジャズ・アルト・サックス

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 ”The Complete Abashiri Concert”
ビクター VICJ-61501,2
メンバ:
Art Pepper(as), George Cables(p), David Williams(b), Carl Burnett(dr) 
録音:
Nov. 22 1981
曲目:
Disc1: Landscape, Besame Mucho, Red Car, Goodby, Straight life
Disc2: Load Waltz, For Freddie, Body & Soul, Rhythm-A-Ning, Blues Encore
Art Pepper(アート・ペッパー)は、前期・後期で違うことは理解しますが、それ以上の議論は無意味です。 生涯を通して大好きなミュージシャンなので、まっ先にこのCDを取り上げない訳には行きません。(あの世で出会ったら、このCDをアートに見せたい)

この演奏はArt Pepperの全アルバムの中で最高傑作だと思います。 場所が最果ての地網走、しかもアートが長い間お世話になった刑務所の町(この表現は拙いかな?)、高揚せずにおかない設定です。 網走という町で何人位の聴衆が入ったのだろうか? 赤字覚悟で、何でこの町まで行ったのだろうか?

このCDではアート・ペッパーを語る前にGeorge Cables(ジョージ・ケーブルス)の素晴らしさについて語る必要があります。 この人のイメージは常に冷静で、どちらかと言うと玄人好みの地味なピアニストと思っていましたが、何時になくホットに燃えており、アートの燃焼度と相まって1+1ではなく2の二乗に作用しています。 <Straight Life>での演奏を聴くと、こんなに指が動いたんだとビックリします。

アートですが、心底熱く燃えた演奏をしています。 ファンとしては、泣かせる<Besame Mucho>、燃えたぎる<Straight Life>、心休まる<Body & Soul>、...ククク、どれも好き好き!

吉祥寺のDESK UNIYONで良くお見掛けする岩浪洋三先生のライナーが全てを語っていますので、購入(もうない?)の上、読んで下さい。

 ”The Sublime and. Sciencefrictionlive”
Thirsty Ear THI 57139.2
メンバ:
Tim Berne(as), Craig Taborn(Rhodes,etc), Marc Ducret(e-gu), Tom Rainey(dr)
録音:
Apr. 12 2003
曲目:
Disc1: Van Gundy's Retreat, The Shell game, Mrs. Subliminal/Clownfinger, smallfry
Dsic2: jalapeno diplomacy/traction, stuckon u(for Sarah)
Art Pepperの次にTim Berne(ティム・バーン)、何故二者が両立するのか、両者を一つのジャズと言うジャンルで括ることが可能なのか、どうでも良い話です。 良いものは良い、好きなものは好きなのです。

ティム・バーンは現在のフリー・ジャズ・シーンの中心人物で、最新フリー・ジャズを理解するのに最適の一人です。 M-BASEを推し進めて強烈なフリーとして再構築し直したような感じを抱かせます。 自主レーベルEMPIREから出した1stアルバム<The Five-Year Plan>(LP)を聴くと、昔のティム・バーンはまだ師匠のJulius Hemphillの影響が残っており、現在のリズム重視のものとは一味違ったティムとなっています。 それにしても1stアルバムのタイトルを<5年計画>とした意気込みが伺われます。

このCDではギターのMarc Ducret(マーク・デュクレ)が凄い、かなり過激です。 フリー食わず嫌いの人にフリーのリズムと言っても理解不能かも知れませんが、このギターのリズム感覚は相当なものです。 <The Shell Game>でのソロを聴くと良く分かります。

最後にCraig Taborn(クレイグ・タボーン)ですが、間口の広い所を見せ、ティムとマークの間を埋めて、黒子に徹した役割を担っています。

 ”RADIUS”
MU Records MU CD 1005
メンバ:
Thomas Chapin(as), Ronnie Mathews(p), Ray Drummond(b), John Betsch(dr), etc. 
録音:
Feb. 4 1984
曲目:
One Man Blues, RADIUS, Forgotten Game, Jitterbug Waltz, Egg Hunt, A January Tear
Thomas Chapin(トーマス・チェイピン)を知ったのは、加納美佐子のリーダ・アルバム<Breakthrew>(Focus)で初めて聴いた時でした。

アルト・サックスとフルートを半々に演奏していますが、どちらかと云うとフルートの方に魅力を感じます。 加納美佐子とやったり、Knitting FactoryからCDを出しているのでフリーに近い様に思えますが、このCDからも分かるようにメインストリーム路線です。(こんな所にロニー・マシューズが、どこでもドアから出てくるレイ・ドラモンドが参加です)

このCDの後にはKnitting Factoryから8枚、Arabesqueから2枚、Playscapeから1枚、CDはこれで全てですが何とLPが1枚ありました。
1981年に<The Bell of the Heart>(Alacra)をLPで出しており、ジャケットには希望を抱いた好青年としてトーマスが写っています。 CD時代以上にメインストーリーム路線に乗ってた演奏で良い出来です。 7人編成で知らない人ばかりですが、ギターのLucian Williamsは出来るギタリストです。 この1枚以外にはない様で、勿体無い!
トーマスは、40歳の若さで1998年に若くして亡くなってしまい残念です。 正当な評価が定まる前に逝ってしまった。

”little fred”
Les Disques Du Crepuscule TWI 919-2
 
メンバ:
Roy Nathanson(ts,as,ss,vo), Bill Ware(vib), Brad Jones(b), E. J. Rodriguez(dr), Syd Straw(vo)
録音:
March 25, 2003
曲目:
Ghostly, Prozak, Bright Mississippi, Cherokee, If Only Had A Brain, Giant Steps, Laura, Little Gold Ring, Tin Tin Deo

Roy Nathanson(ロイ・ネイザンソン)はマルチリード奏者ですが、アルトを演奏する機会が一番多そうなのでこのページで紹介します。 まずは略歴から。

1951年ブルックリン生れ、サキソフォン奏者の他に作曲家、バンドリーダ、俳優、教師、作家、と多彩なキャリアの持ち主でもあります。 まずバンドリーダとしては、Curtis Fowlkes(tb)と共にJazz Passengersというグループを率い、ボーカルをフィーチャーしたアルバムなどを10数枚リリースしています。 またこのグループとは別にAnthony Coleman(key)とDUOでの活動も行っています。 一方、作曲家として映画音楽や子供の為の歌の作曲なども積極的に手掛けています。

Roy Nathansonの音楽は、Kip Hanrahanを聴いている時に感じる楽しさや幸福感と同質のものを感じさせます。(方向性は異なりますが) ハード・バップをがっちり意識したポスト・モダンのどこかに位置するのですが...エッジの利いたアルトの音色はスティーブ・コールマン風だし...テナーを持つとシェップ、アイラーを彷彿させるし...チャーリー・ヘイデンの持つメッセージ性も持っているし...要するにカラフルで多様な音楽なのです。

このCDではBill Ware(vib)がフィーチャーされていますが、ソロをとるとボビー・ハッチャーソンっぽくBlueNoteをイメージさせます。

Jazz Passengers、及びRoy Nathanson関連のCDは他に持っていません。 これを機に購入・聴き込みを行った上で、本リビューを更新・追記することにします。  
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