マイナー・レーベル

マイナー・ジャズ・レーベル

後期Discovery、PAUSA(ポーザと読む?)、INNER CITY、Sea Breeze、CHOICE、InterPlay等のレーベルは一部の人気盤を除き、昔も今も二束三文で売られ見向く人は多くありません。 所謂過小評価のマイナー・レーベルです。BlueNoteのLTシリーズも昔はエサ箱にバラバラと捨てられていました、勿体無い。 最近これらのレーベルにも手を出すようになり、翌々見ると宝の山、遠い宇宙に人知れず輝く銀河の様な存在です。 馬鹿にして手を出さなかったことが悔やまれます。 最近でも一部を除き安く売られていますので、その中から素晴らしいものを紹介します。

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 Discovery
Title, Label Member, Tune  Comment
Spike Robinson@Music Of Harry Warren
タイトル:Music Of Harry Warren
レーベル:Discovery DS-870

★★★★★


 
メンバ:
Spike Robinson(ts),
Victor Feldman(p), Ray Brown(b), John Guerin(dr) 
録音:
18/Nov/81
曲目:
This Is Always, This Heart Of Mine, The More I See You, Chattanooga Choo Choo, Cheerful Little Earful, I Only Have Eyes For You, Lulu's Back In Town, I Wish I Know
70年代から始まる後期Discoveryには、Alan Broadbent(p)、Jack Wilson(p)などの人気盤がありますが、それら以外の盤はあまり紹介されていません。

まずはSpike Robinson(スパイク・ロビンソン)です。 実は私も最近までこの人には気を留めていませんでした。 DESK UNIYONでこの人のCDにそれなりの値付けがされており、気になって1枚買って初めて頭にインプットされた人です。 これが引き金となって購入につながったと思います。

このレコードは、2009年に700円(パンチホールはあるがレコードはクリーン)で購入。 何故誰にも買われず餌箱に置かれていたのかが不思議な1枚。 John Guerin(dr)は知りませんがその他メンバーは豪華! 正統派JAZZには流行り廃りがありませんが、そんな一枚。 Spike RobinsonはZoot Sims同様、どの盤も高いレベルにあるので失敗はない筈です。

タイトル”Music of Harry Warren”とある通りHarry Warrenの曲を取上げたもので、これはVol.2となっています。 Vol.1はというと、Charles Owensが同じくHarry Warrenを取り上げたものです。

内容は伸びやかで温かみがあり、何時もながらのテナーを聴かせてくれています。 バックも安定したスインギーな演奏で盛り上げています。 どの曲も良いのですが、中でも”Lulu's Back In Town”は皆ハッスルで乗りのりです。 Ray Brownも凄い。 Veeeeeery Good!です。
 後期DiscoveryのBest.1と断言します。 Very Goooood !です。

別メンバーによる1993年の演奏をカップリングして、hepより同一タイトルで出されていますので、CDでの入手は可能かも知れません。 こちらも幻化している?

Harry Warrenについて :
1893年生まれのイタリア系アメリカ人、1981年没。 アメリカ初のソングライターとして800曲以上に及ぶ多くの映画音楽を作曲しており、アカデミー賞に11回もノミネートされ、3回オスカーを獲得している。


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タイトル:"At the Piano"
レーベル:Discovery DS-847

★★★★
メンバ:
Barbara Carroll(p)
録音:
14-17/Apr/80
曲目:
Dream Dancing, Emily, Soon It's Gonna Rain, A Child Is Born, What Time Is It, My Song, A Gal In Calico, A Little Warm
Barbara Carroll(バーバラ・キャロル)はDiscoveryレーベルにも録音を残しています。 ほとんど知る人もいない隠れ名盤として。

「15枚目のアルバムにして初のソロ演奏、ソロはリスキーで難しいが最大限に楽器を生かし曲を表現できる可能性もある」とライナーに自ら書いているが、結果は大成功で素晴しいソロ・ピアノを聴くことができます。

48歳の油が乗り切った時期の録音、2005年にVenusからリリースされた”Sentimental Mood”と聴き比べると面白い。 本レコードの方が円熟味を感じさせるのだから面白い。 このレコードの演奏は一貫して静寂な世界。 好きな曲を選んだ。 独自の世界に入り込み目いっぱい表現している。 何度でも云う、素晴しい!

キースの”My Song”を選曲しているあたりは時代を感じさせる。

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   PAUSA
Bobby Shew@Shewhorn
タイトル: Shewhorn
レーベル:PAUSA PR.7198


★★★

メンバ:
Bobby Shew(tp),
Gordon Brisker(ts,fl),Bill Reichenbach(tb),Butch Lacy(p),Bill mays(p),Bob Magunusson(b),Billy Mintz(dr)
録音:
June 1982 & July 1983
曲目:
Bilingual,Dark Monents,Can't Stop The Crying, Assured Expectations, Sea Breeze、Recife's Blues, A Chorus Horace

PAUSAレーベルの生立ち、ディスコグラフィーははっきりしません。 誰か教えて下さい。 他レーベルの再発専門レーベルと思われていますが、何枚かのオリジナルがあります。

このレコードはPAUSAから出たBobby Shew(ボビー・シュー)のオリジナルの1枚。 Bobby Shewはもう一枚”BREAKFAST WINE”をPAUSAから出しています。 Bobby ShewのホームページにもPAUSAからの2枚が掲示されていますので、PAUSAがオリジナルで問題なさそうです。

Bobby ShewはBig Bandでの活動が多く、敏子タバキン・バンドのメンバーとして来日し日本でも名前が知られるようになりました。 あまり目立たないトランペッターの一人ですが、お手本のように正確で真面目な演奏に魅せられます。 ジャケットにあるトランペットとフリューゲルホーンを合体した楽器がタイトルのシューホーンと呼ばれる発明楽器ですが、構造までは判りません。

BILINGUALで始まる一曲目はスインギーな曲で、イントロに続いてBrisker、Shewの順でソロをとっていますが、Shewの演奏はトランペット→フリューゲルホーン→と目まぐるしく入れ替わります。 曲名のバイリンガルと懸けているのですね。 写真を見ても分かりませんが、どこかに切換えスィッチがあるようで、交互の持ち替えをスムーズに行い素晴らしい演奏をしています。
Gordon Brisker(1937‐2004)のようなアンダーレイティッドなミュージシャンが共演していることも嬉しい。 素晴らしいソロが聴かれます。

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   InterPlay
 Freddie Redd@Extemporaneous
タイトル:Extemporaneous
レーベル:InterPlay IP-9004


★★★★

メンバ:
Freddie Redd(p)
録音:
Aug/14/1978 and Sep/23/1978
曲目:
Night Song, I'm Sorry, Gateway East, Blue Notes, Syncopation Waltz, Extemporaneous, Unfinished Symphony, For Art's Sake
妙中さん、ゴメンナサイ、二束三文レーベル扱いして! Art Pepper "Among Friends" (Interplay IP-7718)も復帰直後の雰囲気を捉えた好盤です。(Art Pepperは前期・後期の議論がありますが、ART IS ARTです)

話を主人公のFreddie Redd(フレディ・レッド)に戻しましょう。
これ最近CDが出たようで、コメントに幻の名盤復活とか書いてあり私も同感ですが、何故って聞かれても返事に困ります。 人間の感性にはどこかに共通したものがあるからだと思いますが、音楽の3要素がバシッと決まった時にこれは良い演奏だと皆が思うのでしょうね。 このバシッ理論を説明できると、誰もが心に訴える演奏が出来るようになるのです。 本当かな?

いずれもFreddie Reddの自作曲ですが、”Night Song”と”Extemporaneous”の2曲が静かな良い演奏です。 ”Extemporaneous”の意味は、即興という意味だそうですが、この一回だけの演奏なのかな? 因みにSteve Grossmanも同名曲を作って何回か録音しています。

BlueNote ”The Music From The Connection”が有名ですがさほど良いとは思えません。 全てを聴いた訳ではありませんが、このレコードと”Under Paris Sky”(Futura)の2枚がお勧めです。

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Joe Albany@bird lives
タイトル:Bird Lives !
レーベル:InterPlay IP-7723


★★★
 
メンバ:
Joe Albany(p)
Art Davis(b), Roy Haynes(dr)
録音:
1979
曲目:
Now's The Time, Yardbird Suite, Bluebird, Charlie Parker Blues, Little Suede Shoes, Billie's Bounce, Confirmation, Barbados

Steeple Chaseから出された"BIRDTOWN BIRDS"でジョー・オーバニー(Joe Albany)を知ったが、昔Charlie Parkerと奏ったことを売り物にしているようで、個人的には凡庸な感じで高い評価は出来ない。 1940年代にCharlie Parker、Lester Youngとの録音を残している(未聴)が、薬、アルコールで人生をハチャメチャにしてしまい長い時間を棒に振ってしまった。 1972年に復活し1988年に没するまで積極的に吹込みを行ったが、これと云ったアルバムは無い。(と私は思う) 

だが、このInterPlay盤はチャーリー・パーカー所縁のミュージシャンがパーカーの代表作を演奏したトリオ・アルバムで、パーカーに捧げられたものである。 そんな訳で、指が引っ掛ってスムーズさに欠ける演奏だが、自然と張り切った演奏となっており、一生懸命さに訴える好ましい内容となっている。 

演奏されている曲を聴くと、パーカーが偉大なメロディ・メーカーであったことが頷ける。 ジャズ界の古賀正男だ。

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CHOICE   

タイトル:Music for People, birds, butterflies & mosquitoes
レーベル:CHOICE S1001


★★★★
 
メンバ:
Jimmy Giuffre (fl,cl,ts)
Kiyoshi Tokunaga(b), Randy Kaye(dr)
録音:
Dec. 1972
曲目:
Mosquito Dance, Night Dance, Flute Song, Eternal Chant, The Bird, The Waiting, The Butterfly, The Chanting, Moonlight, Dervish, Phoenix, Feast Dance
Choiceは渋めのミュージシャンを中心に取上げ、1000番シリーズとして30枚弱のレコードを出していますが、詳細は分りませんでした。(SJ誌のレーベル特集に載っていたかも知れませんが、売ってしまって手元にありません) このシリーズの中で有名なのは、Zoot Sim's Party(1006)、Where Is Love?(1012)<Irene Kral & Alan Broadbent>あたりでしょうか。 また、ChoiceのプロデューサGerry Macdonaldが録ったLive At Haig<Bud Shank>が1985年になって世の中に出たことはご存知の通りです。

1000番シリーズの最初の一枚としてこのレコードを取上げることにしました。

リーダのJimmy Giuffre(ジミー・ジェフリー)はGiuffre 3というトリオを何回か結成しました。  このレコードは、第一次(Jim Hall、Ralph Pena(ベースは何人か替わる))、第二次(Paul Bley、Steve Swallow)、それに続く第三次Giuffre 3(1972〜1981)での録音です。 このグループでは、もう一枚<River Chant>(鬼瓦ジャケ)をChoiceに残しています。

このレコードの内容は一言で表すとクール・フリー・スタイル(私の造語ですが)の演奏でこの時期のジェフリーを良く表しており、2分〜5分程度の短い曲を並べ、俳句を意識したような構成となっています。 ジェフリーは幾つかの楽器を演奏していますが、骨太のテナー、繊細なフルート、そしてクラリネットは最後の曲のみで取上げ一番ホットな演奏となっています。

昔から気になっていたのですが、Kiyoshi Tokunagaって誰だろう? 色々と調べたのですが分ったことは僅かで、【サンフランシスコ生まれでソルトレイク・シティで育つ。 1966年にニューヨークに移りJimmy Guiffre、Howard McGhee、Cecil Payne、Duke Jordan、Joe Carroll、Billy Mitchell、Chet Bakerなどと働く。1976年にはカリフォルニアに移り...】程度の情報しか在りませんでした。 他にも数枚のレコーディングがあるようですが、Giuffre 3での演奏はしっかりしたベースの野太い音が印象に残り、ジェフリーとの親密なコミュニケーションは聴かせるものがあります。

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DOBRE   

タイトル:From The Top
レーベル:DOBRE 1023


★★★★
 
メンバ:
Pete Candori (tp)
Lou Levy (p) Fred Atwood (b) John Dentz (ds)
録音:
Unknown
曲目:
Frankie And Johnny, Nature Boy, Drumette, Fascinating Rhythm, Sometimes I'm Happy, Summertime, Moped
DOBRE Recordsは1970年Ray Lawrenceにより興され、1980年にレコード・ビジネスの限界を感じ閉鎖、渋めのミュージシャンを中心に取上げ、1000番シリーズとして66枚のレコードをリリースした。(WIKIにリストがあります) レイさんはBlack Jazz RecordsとJazzz Recordsの設立にも係わっていたそうだ。

このレコード、DOBREらしい安っぽいジャケットなのですが中身は絶品、ピート・カンドリのアルバムの中でも上位に位置する1枚です。 ライナーは弟のコンテが担当しており、「兄だからライナーを引き受けたのではなく、推薦に値するアルバムだったからだ」と述べている。 ピートのトランペットは当然素晴しいのですが、ここではピアノのルー・レビーが驚くほどの充実ぶり、ガンガン弾いてルーのベストでもあるといえます。

安値で売られているはずなので、是非購入をお勧めします。
(見つかり難いかも)

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今後の予定   
Ted Curson(Inner City)
Ted Curson(Inter Play)
Dissie Reese(Inter Play)
Jay Migliori(Discovery)
Ray Turner(Progressive)
Dwight Dickerson(Discovery)
Lloid Ellis(Famous Door)
Paul Smith(PAUSA)
Al Haig(See Breese)










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