何だこのレコード-5
レコード収集も量が多くなってくると、不思議なレコードが見つかることがあります。 ジャズはジャズ・ミュージシャンだけのものではないし、ジャンルの境目は曖昧なものです。 ジャズとクラシック、ロック、民族音楽、等など、その境目に位置する素晴しいレコードを紹介します。
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1)ジャンルの境界...クラシック置き場で見つかる? |
"Jazz for the Virtuoso"
MACE MXX9082
★★★★
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メンバ:
Benny Bailey(tp), Ack Von Royan(tp), Bengt Arne Wallin(tp), Ron Simmonds(fl-h),
Erich Kleinschuster(tb), Willi Meerwald(tb), Nat Peck(tb), Fatty George(cl),
Arne Domnerus(as), Friedrich Gulda(bs,p), Rune Gustavson(gu), Georg Riedel(b), Egil Johansen(dr), Rolbert Poltzer(tu)
録音:
1962
曲目:
Music for Piano and Big Band, Music for Three Solists and Band
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このジャケット・デザイン、ジャズ置場で見つけてもクラシックのレコードと間違って置いたと思われ、購入するのは私くらいでしょう。
フリードリッヒ・グルダ(Friedrich Gulda)は、ジャズとクラシックの二刀流の使い手として有名です。 ジャズの側から聴いた評価は自分なりに出せるのですが、クラシック側からの評価は分りません。 グルダはこの2つのジャンルを融合させることはなく、ジャズを演奏する場合にはクラシック臭さはほとんど感じさせません。
このレコードはジャズそのもので、オリジナルは以下の2つのレコードの様です。
Music for piano and big band Scepter SRM 538
Music for three soloists and band Unissued?
タイトル”Virtuoso”=【博識、達人を意味するイタリア語の男性名詞(wikiより)】が意味する通り、皆大変に上手いミュージシャンで、A面は素晴しいアレンジのビッグ・バンドにグルダのピアノをフィーチャーした演奏、B面はクラリネット、トロンボーン、バリトン(本当にグルダ?)、等々がフィーチャーされたビッグ・バンドとなっており、両面とも好内容となっています。
オリジナル所有者をウェブで検索すると一件だけヒットしました。 クラシック畑のコレクターで、記載されていた購入場所も聞いたことないので、多分クラシック専門店だと思われます。 因みに、私のUS再発盤はジャズに分類されていました。 |
2)ジャンルの境界...異種格闘技? |
"World Music Meeting"
Eigelstein ES 2024
↑
実際は薄黄色
★★★★★★★
↑
キーボードが滑った?
違います、
凄い演奏なのです! |
メンバ:
Hozan Yamamo(尺八)-Japan
Krzesimir Debski(vl)-Poland
Charlie Mariano(as,ss)-USA
Alfred Harth(ss,ts,b-cl,tp)-West Germany
Juan Jose Mosalini(band-n)-Argentine
Karl Berger(vib)-USA
Peter Kowald(b)-West Germany
Ken Johnson(s-dr,conga)-Trinidad
Ponda O'Bryan(af-dr,conga)-Surinam
Trilok Gurtu(tabla,dr)-India
Barry Altshul(dr)-USA
録音:
1984
曲目:
Again And Again, Again, NAOMI, KAZE, Pascha Love, Eujapica |
知る人はいない、このレコードは物凄い!
このグループ”The World Music Meeting 1984”の演奏は、≪New Jazz Meeting Baden-Baden≫の年次総会の一環として行われたそうです。
ジャズ代表は、チャーリー・マリアーノ、カール・ベイガー、バリー・アルトシュル、アルフレート・ハルト(即興音楽家)、ペーター・コヴァルト(フリー・ジャズ)、Krzesimir
Debski(ジャズ・ロック、片仮名表記不明)の6人、ここに各国の民族楽器の大御所5人が加わった演奏。 ジャズ・ミュージシャンが中心なのでジャズ音楽に分類して良いと思うのですが、そんな事はどうでも良い。 まさに楽器による異種格闘技の様相を呈しています。 日本代表として人間国宝山本邦山が参加し、B面1曲目の<KAZE>という曲を提供していますが、この曲に限らずバンド全体を仕切っています。 しかし、素晴しいのは邦山だけではなく、参加メンバー全員の演奏が凄い。 この時代のチャーリー・マリアーノまでが目一杯の演奏。
コリン・ウォルコット(オレゴンのメンバー、シタールなどの奏者)がこのミーティング参加直前に交通事故で亡くなり、何曲かがコリンに捧げられている。
この種のレコードは、ジャズではなくて、ワールド・ミュージックと呼ばれる場所に隠れているのではと思います。 1984年でそんなに古くないので、探して購入すべし。 |
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