その7

「ジャズ批評」考 - 頑張れジャズ批評!

 「ジャズ批評」の購読を始めたのは、ジャズを聴き始めて5年ほど経った後で、15号(ジョン・コルトレーン以降のジャズ・シーン)辺りからではないかと思う。 当時はまだハードコアなジャズの残り火が僅かに灯っていた時期で、批評という硬い言葉の雑誌名が受け入れられ、編集方針もまだ時代にマッチしていた。 それから暫くするとジャズはフュージョンとやらの流行音楽に席巻され詰らない方向へ進んでしまったが、「ジャズ批評」は揺らぐことなくジャズ本流を貫いた。 この時代は営業的に辛い時期だったのではと思うがこれは正しい選択で、もし時流に乗ってフュージョン中心に取り上げていたらとっくに廃刊になっていた筈である。 更に時代が進み80年代に入るとフュージョン熱は冷め、新主流派なる新人が台頭し始め、「ジャズ批評」は《楽器別特集》なる路線を編み出し、その後更に《特定のミュージシャン特集》を絡めた編集で上手く乗り切った。 しかしこの時期、ジャズの隅っこに位置する先鋭化した記事が一部で取上げられるようになった。(個人的には、幅広いジャンルを取上げた点で歓迎であったが、これを毛嫌いする人達もいた) この様な傾向の反動か、2000年代に入ると軟弱派路線を主張する人々が経営の弱体化(多分)を衝いて発言力を増し、ある時期を境に大きく編集方針を変えることになった。(この時期、松坂氏の心労はピークに達していたのではないか) この路線は現時点まで続いており、経営的な成功・失敗は明らかではないが、第二SJ誌路線はジャズ上級者に対する吸引力を弱め、その人達が離脱して行ったことは明白であり、危険な編集方針ではないかと筆者は考える。

200号に向けたこれからの「ジャズ批評」のあり方として、以下の4点を提言する。

1.軟弱派路線一辺倒の人達に対峙し、より幅広いジャズのジャンルを取り戻す
  (多くの読者を掴むには、扱うジャズの中心−独自方針−をしっかり見据えること)
2.本という活字メディアのあり方を見直し、ウェブの世界に溢れる情報と如何に融合し活用するかを考える
  (雑誌の資料的価値を如何に保つか)
3.購読者の対象を明確化し、ターゲットの絞込みを行う
  (第二SJ誌では存続の意味を失うことは明白で、初心者はSJ誌に任せれば良い)
4.コスト削減の中で、如何にレベルを落とさずに記事を集めるか
  (最近、幾つかの号でレベルの低いものが見受けられる)

今後望む特集
タイトル コメント 
その他の楽器特集1 ほとんど奏者がいない楽器≪ウクレレ、ハープ、ハモニカ、オーボエ、ホルン、ピッコロなど≫
その他の楽器特集2  他楽器に合わせ紹介された楽器≪ソプラノサックス、バリトン、バスクラ、クラリネット≫ 
ミュージシャン特集 Roland Kirk(ローランド・カーク)
ミュージシャン特集  Sun Ra(サンラ) 
和ジャズVol.3  まだ不足(他社が和ジャズを出してしまったが)
HP紹介特集  素晴らしいジャズのホームページの特集 
CD時代の名盤特集  CDでしか聴けないベスト100アルバム、または幻のCD 

最後にジャズ批評という雑誌名を忘れないで欲しい。 批評とはどういうことか!

2009年10月15日

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What's New?! by DISK UNION

1994年5月から1996年12月(vol.1〜vol.10、多分これで終わっている)の間、レコードを購入すると袋の中に1冊ずつ入れ配っていた<What's New?!>という小冊子があったことを知っていますか? DESK UNIYONの会社組織に反発して辞めた沼田順氏が編集責任者で発行していました。 この小冊子、昔のジャズ批評を思い起こさせるハードコアなもので、オーネット・コールマン、ペーター・ブロッツマンなどの特集や、ソロ特集、その他楽器特集等を取上げていました。 ジャズ批評にこのような路線に戻れとは言わない(商業的に成功する筈が無いので)が、一部分でも良いのでこのような香りを放つ本当のジャズ批評のコーナーがあっても良いのではと思います。

Vol.8だけ貰い損ねて手元にありません。 お願いだから誰か譲って下さい。
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