コテコテ・ジャズVOL.1

コテコテ・ジャズ

ドロドロを語るには、Prestige、Argo&Cadet、Muse&Cobblestoneの3大レーベルを欠かすことはできません。 この3大レーベルの中ではMuseに深い思い入れがあり、Vol.1はMuseドロドロ特集とします。(MUSE設立当初から同時代的に聴いてきた)

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コテコテMuse

Title, Label Member, Tune  Comment

 Lockin' Horns
Muse 5200


★★★
メンバ:
Willis Jackson(ts), Von Freeman(ts), Carl Wilson(org), Joe Jones(gu), Yusef Ali(dr)
録音:
August 11 1978
曲目:
POW!, The Man I Love, Troubled Time, Summertime, The Shadow OF Your Smile, Willis And Von
Willis Jackson(ウイリス・ジャクソン)Von Freeman(ボン・フリーマン)を迎えてのLiveコンサートです。まずA面、Willis Jacksonカルテットだが、何と言ってもハイライトは2曲目の<The Man I Love>です。 <Rhapsody In Blue>で始まり、その後も<Lullaby Of Birdland>、<Yesterdays>などのGershwinメロディーが散りばめられ、更にラフマニノフのピアノコンチェルトまで加えたごった煮状態、何を聴いているの判らなくなるアレンジ。 B面に入ってVon Freemanが加わった最後の曲<Willis And Von>、最初は大人しくそれぞれでソロをとっていますが、最後3分のテナーバトル、これぞドロドロの世界が繰り広げられています。 ドロドロって何かを理解したい方は是非聴いて頂きたい。最近すっかり影が薄くなったChico Freemanの親爺さん、やる時はやるぞっていう感じです。
 
West Africa
Muse 5037

★★★★
メンバ:
Willis Jackson(ts), Micky Tucker(e-p,org), Ted dunber(gu), Bob Cranshaw(b), Freddie Waits(dr), Richard Landrum(perc,conga), Sonny Morgan(perc) 
録音:
October 22 1973
曲目:
West Africa, A house Is Not A Home, Fumgii Mama, Don't Misunderstand, The Head Tune, I Love You, yes I Do
Willis Jacksonの二連発です。このジャケット、恰好良いと思うのですが、どうですか? この時期のMuseのロゴは自信満々の大きさですね。

ところで内容ですが、一曲目の<West Africa>、コンガとパーカッションに導かれ、Sonny Rollinsのカリプソのリズムを彷彿させる明るい楽曲で幕を開けます。 二曲目<A House Is Not A Home>では一転してムーディーなスローバラード、サム・テーラーもぶっ倒れる演奏で、黒人カップルのチークダンスが目に浮かびます。 血が沸騰して高血圧状態になってぶっ倒れそうになるだけがドロドロではありません。 

Piercing
Muse MR5304


★★★★

メンバ:
Bobby Pierce(org,vo), Pat Martino(gu), Bob Cranshaw(b), Bobby Jones(ts), Roy Brooks(dr)
録音:
April 6 1972
曲目:
Think, Here, There And Everywhere, I Remember Ray, Mister P.C., Wichita Lineman, To Newport With Love

Cobblestone <Introducing Bobby Pierce With Bobby Jones>CST 9016(写真左)の再発。 Museでは、<NEW YORK> MR5030というタイトルで出し、更にこれを再々発したのがこの盤です。(Museは、Prestige同様に自レーベル内での再発をよくやりました)

まずメンバをみて頂きたい。 凄いですね。 Cobblestoneだから出来たのだと思いますが、このメンバに何でBobby Jones(ボビー・ジョーンズ)が加わっているのか不思議です。

内容ですが、のっけからBobby Pierce(ボビー・ピアス)のオルガンが唸りを上げる。それに合わせるBobby Jones、完全にドロドロ路線に乗った演奏をして溶け込んでいることには驚かされます。 ところがB面一曲目に入って<Mr. P.C.>、これはBobby Jonesに敬意を表したのだと思うのですが、オルガンの後ろではいつも借り猫状態のPat Martinoのギターが炸裂します。 Bobby Pierceのボーカルが2曲入っていますが、まあ良いかって感じ。

Iron City!
Cobblestone CST9002


★★★
メンバ:
Grant Green(gu), Big John Patton(org), Ben Dixon(dr)
録音:
1967
曲目:
Iron City, Samba de Orfeu, Old Man Moses, Put On Your High Heel Sneakers, Sometimes I Feel Like A Motherless Child, Work Song
ギター、オルガン、ドラムのトリオ・アルバムです。 1967年の録音?でBlueNoteとの契約関係にあったGrant Green(グラント・グリーン)John Patton(ジョン・パットン)を断りもなく借りてきたとのコメントも無し、プロデューサの記載も無し、Cobblestoneからの発売は問題なかったのでしょうか。 Grant GreenはPrestigeにもDon PattersonやCharles Kynardのサイドマンとして沢山録音を残していますので、この縁での録音となったと思われますが。

ところで内容の方は、気が抜けているというか、リラックスしているというか、緊張感のない演奏が続きます。 しかめっ面して聴かずに、音が鳴っているなっていう感じで聴きましょう。 これで良いのです。

The Return Of don patterson
Muse 5005

★★★★
メンバ:
Don Patterson(org), Eddie Daniels(ts,ss,as), Ted Dunbar(gu), Freddie Waits(dr)
録音:
Oct. 30 1972
曲目:
Jesse Jackson, Theme From The Odd Couple, Lori, Theme From Love Story, The Lamp Is Low
 
ドン・パターソン(Don Patterson)のMuseからの1stアルバムです。 アルバム・タイトル”The Return Of”の意味する所は、Don Pattersonが1969年にPrestigeに録音を残した後、中央から消えインディアナ州ミシガン湖畔の地方都市Garyに引き篭もり、Donは死んだという噂まで出ていたためだそうです。

この人、オルガニストの中では地味な存在で熱くに燃える演奏は少なく、結果人気の点でも二番手となっているのではと思います。 これは本人が話している通り、≪ピアノのサウンドを堅持した奏法≫に起因しているようです。

このレコードも淡々と弾いていますが、3年ぶりに中央に戻って来たためか、普段以上に熱い演奏となっています。 3曲目<Lori>では、Eddie Danielsがアルトでホットに飛ばす裏に入るオルガンが微妙に快調です。 Ted Dumbarのギターに続きオルガンがソロを執っていますがこの人にしては相当に燃えた演奏を繰り広げています。 ラテン・リズムに乗った<Theme From Love Story>では、Eddie Danielsがジャズ化の難題を上手く昇華させています。 このレコードのギターTed Dumbarは、サイドマンでのPat Martinoのプレーを凌いでいます。 
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