私的名盤レコード紹介 : その他楽器

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 "Opus In Swing"
Savoy MG 12085
メンバ:
Frank Wess(fl), Kenny Burrell(Solo-gu), Freddie Greene(rhyt-gu), Eddie Jones(b), Kenny Clarke(dr)
録音:
1956 June 20
曲目:
Kansas City Side, Southern Exposure, Over The Rainbow, Wess Side, East Wind

Frank Wess(フランク・ウエス)と贔屓の皆様ゴメン! このレコードはギターのKenny Burrell(ケニー・バレル)で聴く。

最初にKenny Burrellのデビューを追ってみる。 まだ学生だった1951年にDissie Gillespieのコンボでプロとしてスタートを切ったが、1955年にB.A.の称号を得るまでデトロイトに留まった。 卒業後半年間Oscar Petersonのツアーに同行することで目覚め、翌年にはニューヨークに移り住み本格的なデビューを飾った。 このデビューが如何に華々しく期待を持って迎えられたかは、録音のため行われたセッションの日付を調べると分る。 下記一覧の通りSavoyとBlue Noteの二股で八面六臂の大活躍だ。

このレコードだが、第一にKenny Burrellのバックで黙々とリズムを刻み続けるFreddie Greeneが印象的だ。 Kennyが派手なソロで仕掛けても肝が据わり微動だにしない見事さだ。 同じ楽器ではないと考えている様子だ。 Kenny BurrellはBlue Noteへの同時期の録音と同質だが、メンバーが違うためか若干明るく聴こえる。 

Kenny Burrellの演奏には2つのスタイルがあると”Stormy Monday"のリビューで書いたが、このレコードでもう一つのスタイルを発見した。 スロー・バラード(B面1曲目のOver The Rainbow)ではJohnny Smith丸出しなのだ。(同年のSavoy盤”Ronnell Bright Trio”を聴くとよりはっきり分る) だがこのスタイルは初期だけで消える。

リーダが地味なFrank Wessであることで損をしているこのレコード、Kenny Burrellを中心に据えると違って聴こえて来ます。 見直しましょう。
1956年、Kenny Burrellが参加したセッション)
Mar 05 Savoy - Frank Foster Septet
Mar 07 Savoy - Frank Wess Septet
Mar 12 Blue Note - Kenny Burrell, Vol.2
Mar 12 Blue Note - Thad Jones(未発表)
Mar 13 Savoy - Thad Jones/Detroit-New York Junction
Apr 30 Savoy - Kenny Clarke Quintet
May 09 Savoy - Kenny Clarke Quintet
May 29 Blue Note - Introducing Kenny Burrell & K.B. Vol.2
May 30 Blue Note - 同上
May 31 Savoy - Kenny Dorham - 'Round About Midnight At The Cafe Bohemia & Blue Note K.B. Vol.2
Jun 20 Savoy - Opus In Swing
Jul 09 Blue Note - The Magnificent Thad Jones
Sep 21 Blue Note - Paul Chambers/Whims Of Chambers
Sep 26 Savoy - Ronnell Bright Trio
Nov 30 Savoy - The Jive Brothers
Dec 02 Blue Note - Kenny Burrell Vol.2
Dec 08 Transition - Doug Watkins/Watkins At Large
Dec 17 Savoy - Frank Wess Quintet
Dec 26 Savoy - Joe Newman Sextet
Dec 28 Prestige - All Night Long

 "Synthetic Evans"
POLJAZZ Z-SX-0636
メンバ:
Gil Evans(p,arr), Ernie Royal(tp), Louis Soloff(tp), John Clark(gu), Peter Levin(synth), Tom Malone(tb), Bob Stewart(tuba), Arther Blythe(as), George Adams(ts), Sue Evans(dr), Mike Richmond(b)
録音:
Oct. 23. 1976
曲目:
Priesteso, Gone, Summertime, Rhythm-A-Ning
Gil Evans(ギル・エバンス)の凄さは電子楽器(奏者)を完全に使いこなした点にあると思う。 それ以前にアレンジやオーケストレーションの凄さは当然として。 A面”Priesteso”のPeter Levinでの怪しげなシンセサイザーを聴けば一発で理解できるはずだ。 電子楽器の使用は、一時中断後1969年に復帰し録音した”Gil Evans”(Ampex)からであり、ギルの本領発揮はここからだと個人的には思う。(それ以前に残された作品も他オーケストラとは一線を画すものがあったことは確かだが)

Gil Evansオーケストラに魅力を感じるのは何故か、自分でも良く分らないが、ソロ・スペースの割合が多く、そのスペースを与えられたミュージシャンが最大限の持てる力を発揮している点にあることは確かだ。 この能力を発揮させるために、ソロとソロを繋ぐ部分にGilの力が潜んでいる。 呼び水を撒いているのだ。 それに釣られて演奏する。

この作品は、1973年”Svengali”、1975年”Plays The Music Of Jimi Hendrix”に続きものであり、ピーク時のGilを捉えたものである。 ジミヘンのファンではないは、二度も見た映画ウッドストックでの演奏は今でも鮮明に頭の中に残っており、ギルとの競演が実現してれば世紀の名作が出来上がっていたことは自信を持って言える。
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